2024/11/30

私は時々こうやって、普段考えてることとか印象深かったこと、逃したくない感情とかを文章に残してる。書くことで癒される。まずはこの2か月間どう過ごしていたか書いてみる。

9月末に大学の友達と京都に行って、良い旅行だった。旅行に行くと毎回本を買うようにしてて、今回は恵文社で『VACANCES』というZINEみたいなものを買った。参加者にダ・ヴィンチ・恐山、布施琳太郎、永井玲衣とか気になる人が多かったから読んでみたけどそんなに面白くはなかった。前回京都に行ったのは今年の2月で、そのときはマーク・フィッシャーという批評家の『奇妙なものとぞっとするもの』を出町座で買った。この本では「何にも属していないもの」が喚起する情動は「奇妙なもの」で、「われわれには捉えがたい何らかの行為主体(エージェント)」 が喚起する情動は「ぞっとするもの」と定義されてる。「ぞっとするもの」の感覚とはつまり「不在の失敗や現前の失敗」。それでいうと今の状況って「不在の失敗」かもとか考えてた。ミステリー/SF小説家、リンチやタルコフスキーブライアン・イーノピーター・ウィアーの『ピクニック・アット・ハンギング・ロック』(この映画めっちゃ面白い)等色んな文化を取り上げていて、どの論考も面白かった。<つねにすでに>という時間の捉え方や「奇妙なもの」や「ぞっとするもの」における「日常性からの解放」という効果は、今の自分にはすごく助かる。

最近仕事以外で映画やドラマを見ていなくて、それはエネルギーを使うからなんだけど、本を読んだり美術館やギャラリーに行ったり音楽を聴いたりしてそういうものに本当に癒されてる。↓が最近よく聴いてるものたち。埋め込むと値段が出るんだね。

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How Sad, How Lovely

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10月下旬から転職活動を始めて、それもあって映画を見る時間があまりとれてなかった。右肩下がりの業界にいて、上司への不信感も積み重なっていたところだったからこんなところにいてはいけないみたいな気持ちから転職しようと思った。仕事して家帰って履歴書送ってテスト受けて面接して・・・みたいな生活を1か月弱続けて、ほぼ内定のところまでいった時に、新たに始めようとしてることが、実は全然ときめかないしやりたくないことだと気付いて結局全部やめた。自分の能力や暮らしへの不安からキャリア・成長みたいなものに囚われすぎていた。数週間前の落ち込んでいたときに書いた日記に「本当はただずっと哲学をしてたい」という真逆なことが書いてあってそれは言い過ぎだと思うけど、おそらく根はそこにある。自分が生まれたこととか生きてること自体が不思議でそういう疑問を見過ごせない。自分の目を通してしか世界を捉えられないなら確かなものは何もなく、自分の存在もものすごく不確かなものに思える。一方で社会的なことや具体的な生活をうまくやれないと、アートに浸ったりただ思考したりみたいなご褒美のような時間を自分に許可できないという良く言えばバランス感覚、悪く言えばつまらない自制心が常に働いていて、そのおかげでなんとか生き延びている。今は現職をもう少し頑張ってみたくて逆にやる気が出てきた。

ここ2か月はあんまり感じたことがないような気持ちになったりして、その感覚も徐々に薄れてきて寂しい。もっと共有したいことがあったはずだけどそれも通り過ぎていってしまう。今日は友達とソフィ・カルの展示に行った。恐らく7年くらい前の原美術館が閉まる直前に、「限局性激痛」を見に行ってそれを今でもすごい覚えてる。今回もテーマは「不在」で、まさにみたいな、今考えたいことと合致してた。展示自体は色々思うことがあり、ソフィ・カルの作品は文脈やアイディア勝ちみたいなところがあって、さらに作品には長いテキストが付けられていて読ませる部分がかなり多いから、美術館で体験させる必要性とか、本のほうがいいんじゃないかとか考えてしまった。映画を観るときも、これを表現するにはなぜ映画でなくてはいけなかったのかという媒体の必然性をよく考える。今『眼がスクリーンになるとき』というドゥルーズの『シネマ』を読み解く批評本を読み進めてて、これについては何を言っているのか全然わからなくてやばい。説明できるくらいまでなんとか理解したい。ソフィ・カルは写真とそれにつけられたテキストの因果や論理の整合性がとれすぎていてとてもわかりやすいことが、多くの人に語られる理由でもあると思う。写真自体が美しい作品もあった。「いない」ということが「いる」こと以上に強烈な印象を与えてしまうのは本当に皮肉なことだ。しかし同時に色んなことを忘れてしまう。映画のことはまた気が向いたら書こうかな。

↓送ろうと思ってやめてた写真